●日常生活の工夫
アレルゲン物質の表示

こちらのページでは、食品表示法に基づいて食品のアレルギーの表示制度についてわかりやすくご説明します。

国立研究開発法人
 国立成育医療研究センター
 大矢 幸弘先生 監修

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アレルギー表示が必要な食品

食品に関する法律は、食品衛生法・JAS法・健康増進法の3つでルールが定められています。その中でも、アレルギー表示に関する法律は「食品衛生法」によって定められていました。
しかし、食品の表示全般に関わる制度が複雑で消費者や事業者にとってわかりにくい点もありました。
そこで、3つの法律の「食品の表示に関する規定」の部分を統合して「食品表示法」が制定され、平成27年4月1日に施行されました。
食品表示法は、アレルギー表示以外にも、消費者が食品を選択・購入する際に必要な情報を、よりわかりやすく確認できる表示制度となっています。
ここでは、食品表示法に基づいてアレルギーの表示制度についてわかりやすくご説明します。

アレルギー表示は、なぜ必要なのでしょうか?

近年、乳幼児から成人まで、特定の食物が原因でアレルギー症状を起こす人が増えており、中には死に至るほど重篤な症状の方もいらっしゃいます。そのため、食品中のアレルギー物質に関する正確な情報の提供が必要となりました。

表示されるアレルギー物質とは?

では、実際に表示されるアレルギー物質とはどのようなものでしょうか。
現在、表示されているアレルギー物質には、必ず表示されるもの8品目と表示が勧められているもの20品目があります。特に必ず表示されるものを「特定原材料」といい、患者の方の数が多い乳、卵、小麦、えび、かに、くるみと、重篤な症状に至ることが多いそばと落花生の8品目が指定されています。
また、表示が推奨されている20品目は「特定原材料に準ずるもの」といい、「可能な限り表示をするよう努めること」とされています。

※くるみの表示が義務化となる2025年4月までは経過措置期間となるため、表示が切り替わっていない商品もございます。

必ず表示されるものは、卵・乳・小麦・そば・落花生(ピーナッツ)・えび・かに・くるみです。

卵

乳

小麦

小麦

そば

そば

落花生 (ピーナッツ)

落花生
(ピーナッツ)

えび

えび

かに

かに

くるみ

くるみ

<推奨品目>特定原材料に準ずるもの20品目

表示が勧められているものは、下表の20品目です。

アーモンド

アーモンド

あわび

あわび

いか

いか

いくら

いくら

オレンジ

オレンジ

カシューナッツ

カシューナッツ

キウイフルーツ

キウイフルーツ

牛肉

牛肉

ごま

ごま

さけ

さけ

さば

さば

大豆

大豆

鶏肉

鶏肉

バナナ

バナナ

豚肉

豚肉

マカダミアナッツ

マカダミアナッツ

桃

やまいも

やまいも

りんご

りんご

ゼラチン

ゼラチン

“気をつけましょう!”含まれていても表示されない場合があります

ところが、ここまで述べてきた、義務表示の特定原材料8品目が含まれていても、表示されない場合があるので注意が必要です。 まず表示されるものとは、

⑴あらかじめ箱や袋で包装されている加工食品
⑵缶や瓶詰めの加工食品

一方、表示されない場合もあるので、気をつけなければならないものは、

⑴店頭で計り売りされる惣菜・パンなど
⑵アルコール

表示される加工食品

あらかじめ箱や袋で包装されている加工食品

あらかじめ箱や袋で包装されている加工食品

缶や瓶詰めの加工食品

缶や瓶詰めの加工食品

表示されない加工食品

店頭で計り売りされる惣菜、パンなど

店頭で計り売りされる惣菜、
パンなど

アルコール

アルコール

特定原材料8品目は、そのタンパク質が微量でも含まれている場合は表示されます(数µg/mlまたは数µg/g以上)。但し、運搬容器への表示や、食品中に含まれる特定原材料等の総タンパク量が、数µg/ml濃度レベル又は数µg/g含有レベルに満たない場合、知見が不足している香料などは表示が免除されています。

注)mg(ミリグラム)=10-3g、µg(マイクログラム)=10-6g

可能性表示の禁止
今までとは逆に、表記が禁じられている場合としては、確実な証拠がないのに、「卵が入っているかもしれません。」「卵が入っている場合があります。」のような「可能性表示」は禁止されています。これは、このような実際に含まれていないのに含まれているかどうかわからない表記を許すと、患者の方の食べることができるものをいたずらに狭めることとなるからです。

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アレルギー物質表記の種類

①アレルギー表示が必要な食品では、アレルギー表示の理由や表示対象、表示されない加工食品についてご説明しました。②アレルギー物質表記の種類では、製品でのアレルギー物質の表記にはいくつかの表記名(代わりの表記名)があることをご説明します。

アレルギー物質の表記名には幅があります

①アレルギー表示が必要な食品では、アレルギー表示の対象には必ず表示される「義務品目」(特定原材料8品目)と、表示が勧められているもの「推奨品目」(特定原材料に準ずるもの20品目)があることを説明しました。しかし、例えば義務品目である卵についても、製品の表記欄の書き方には別の書き方も認められています。これが「代替表記」と呼ばれるもので、義務品目の「卵」であれば、 「玉子、たまご、タマゴ、エッグ、鶏卵、あひる卵、うずら卵」が認められています。つまり、これらの表記があるものは、卵アレルギーの方は食べないよう注意する必要があることとなります。
また、特定原材料名と代替表記を含んでいる原材料名の一部には「拡大表記」としてその利用を認められている表記があります。      
※くるみの表示が義務化となる2025年4月までは経過措置期間となるため、表示が切り替わっていない商品もございます。

代替表記
表示されるアレルギー物質は、別の書き方も認められています。これを代替表記といいます。
拡大表記
特定原材料名または代替表記を含んでいるため、これらを用いた食品であると理解できる表記です。

代替表記と拡大表記の表記例

特定原材料8品目

特定原材料8品目 代替表記 拡大表記(表記例)
表記方法や言葉が違うが、特定原材料と同一であるということが理解できる表記 特定原材料名または代替表記を含んでいるため、これらを用いた食品であると理解できる表記例
えび 海老、エビ えび天ぷら、サクラエビ
かに 蟹、カニ 上海がに、マツバガニ、カニシューマン
小麦 こむぎ、コムギ 小麦粉、こむぎ胚芽
そば ソバ そばがき、そば粉
玉子、たまご、タマゴ、エッグ、鶏卵、あひる卵、うずら卵 厚焼玉子、ハムエッグ

「卵白」「卵黄」については、特定原材料名の「卵」を含んでいますが、事故防止の観点から、拡大表記として(含む)旨の表示を省略することは出来ません。
例)卵白(卵を含む)など

ミルク、バター、バターオイル、チーズ、アイスクリーム アイスミルク、ガーリックバター、プロセスチーズ、乳糖、乳たんぱく、生乳、牛乳、濃縮乳、加糖れん乳、調整粉乳
落花生 ピーナッツ ピーナッツバター、ピーナッツクリーム
くるみ クルミ くるみパン、くるみケーキ

出典先:消費者庁HPより(食品表示基準について 平成27年3月30日消食表第139号別添資料より)

特定原材料に準ずるもの20品目

特定原材料に準ずるもの20品目 代替表記 拡大表記(表記例)
表記方法や言葉が違うが、特定原材料に準ずるものと同一であるということが理解できる表記 特定原材料に準ずるものの名称または代替表記を含んでいるため、これらを用いた食品であると理解できる表記例
アーモンド アーモンドオイル
あわび アワビ 煮あわび
いか イカ いかフライ、イカ墨
いくら イクラ、すじこ、スジコ いくら醤油漬け、塩すじこ
オレンジ オレンジソース、オレンジジュース
カシューナッツ
キウイフルーツ キウイ、キウィー、キーウィー、キーウィ、キウィ キウイジャム、キウイソース、キーウィージャム、キーウィーソース
牛肉 牛、ビーフ、ぎゅうにく、ぎゅう肉、牛にく 牛すじ、牛脂、ビーフコロッケ
ごま ゴマ、胡麻 ごま油、練りごま、すりゴマ、切り胡麻、ゴマペースト
さけ 鮭、サケ、サーモン、しゃけ、シャケ 鮭フレーク、スモークサーモン、紅しゃけ、焼鮭
さば 鯖、サバ さば節、さば寿司
大豆 だいず、ダイズ 大豆煮、大豆たんぱく、大豆油、脱脂大豆
鶏肉 とりにく、とり肉、鳥肉、鶏、鳥、とり、チキン 焼き鳥、ローストチキン、鶏レバー、チキンブイヨン、チキンスープ、鶏ガラスープ
バナナ ばなな バナナジュース
豚肉 ぶたにく、豚にく、ぶた肉、豚、ポーク ポークウインナー、豚生姜焼、豚ミンチ
マカダミアナッツ マカデミアナッツ
もも モモ、桃、ピーチ もも果汁、黄桃、白桃、ピーチペースト
やまいも 山芋、ヤマイモ、山いも 千切りやまいも
りんご リンゴ、アップル アップルパイ、リンゴ酢、焼きりんご、りんご飴
ゼラチン 板ゼラチン、粉ゼラチン
「特定加工食品」表示の廃止について
特定加工食品とは、表記として特定原材料名または代替表記を含んでいないが、一般的に特定原材料を含むことが予測できると考えられている食品をいいます。
平成27年4月に施行された「食品表示法」により、この特定加工食品およびその拡大表記は廃止となりました。
特定加工食品の表示例
「卵の特定加工食品」である:マヨネーズ
「小麦の特定加工食品」である:うどん
※例えば、マヨネーズの主原料は「卵」と連想出来ると考えられていたため、あえて「卵を含む」とは表記しなくてもよいとされていました。しかし、最近は「卵」を使わない「大豆」を原料とするタイプもあります。
そこで、新制度ではこれらの食品についてもアレルギー表示がされるようになりました。
<表示例>
マヨネーズ(卵を含む)
うどん(小麦を含む)      

アレルギー物質の表示方法は原則として「個別表示」です

加工食品の原材料表示欄に表示されるアレルギー物質の表記方法には、「個別表示」と「一括表示」がありますが、「食品表示法」の施行により、原則として「個別表示」となりました。
なお、個別表示により難い場合や個別表示がなじまない場合などは、一括表示も可能なこととなっています。

「個別表示」とは

原材料名の直後にカッコを付けて特定原材料等を含むことを表示する方法です。

下線部分が特定原材料(8品目)および特定原材料に準ずるもの(20品目)が含まれる表示です。

表示推奨品目である特定原材料に準ずるもの(20品目)については、製造メーカーの判断によって、表示される場合とされない場合があります。(以下の表示例では「大豆、豚肉、牛肉、ごま」などです)

実際の製品の表示には下線は引いてありません。

個別表示例1

個別表示例1
名称 ポテトサラダ
原材料名 じゃがいも、マヨネーズ(大豆・卵を含む)、にんじん、たまねぎ、きゅうり、ハム(豚肉・卵を含む)、トウモロコシ、食塩、香辛料/調味料(アミノ酸)、pH調整剤

・特定加工食品表示が廃止されたため、卵を使用したマヨネーズの場合「卵」が含まれていることが表示されます。
・ハムに使用されている原材料のなかで、アレルギー物質の卵と豚肉が表示されます。

個別表示例2

個別表示例2
名称 洋菓子
原材料名 小麦粉、植物油脂、卵黄(卵を含む)、砂糖、生クリーム(乳成分を含む)ごま油脂加工品(大豆を含む)/加工でん粉、香料

・添加物以外の原材料と添加物は、/(スラッシュ)で区切るか、改行して欄を分けて表示または、「添加物」の事項名を設けて表示されます。

「一括表示」とは

原材料欄の最後にカッコを付けて、すべての原材料等を含まれるアレルギー物質をまとめて表示する方法です。

一括表示例1

一括表示例1
名称 洋菓子
原材料名 準チョコレート、(パーム油、砂糖、全粉乳、ココアパウダー、乳糖、カカオマス、食塩)、小麦粉、ショートニング、砂糖、卵、コーンシロップ、乳または乳製品を主要原料とする食品、ぶどう糖、麦芽糖、加工油脂、カラメルシロップ、食塩、(一部に小麦・卵・乳成分・牛肉・大豆を含む)
添加物 ソルビトール、酒精、乳化剤、膨張剤、香料、(一部に大豆・乳成分を含む)

・アレルギー物質は添加物にも表示されます。

一括表示例2

一括表示例2
名称 調理パン
原材料名 パン、卵サラダ、ハムマヨネーズ、レタス、半固形状ドレッシング/調味料(アミノ酸等)、増粘剤(キサンタンガム)、pH調整剤、乳化剤、リン酸塩(Na)、酢酸(Na)、グリシン、イーストフード、酸化防止剤(V.C)、香辛料抽出物、発色剤(亜硫酸Na)、カロチノイド色素、(一部に小麦・卵・大豆・豚肉・ごまを含む)

なお、同じアレルギー物質名が何度も出てくる場合は、二度目以降は省略されることもあります。

重複するアレルギー物質名を省略しない表示例(個別表示の場合)

重複するアレルギー物質名を省略しない表示例(個別表示の場合)
名称 ウインナーソーセージ
原材料名 豚肉脱脂粉乳、食塩、香辛料(小麦を含む)、砂糖、しょうゆ(大豆・小麦を含む)、酵母エキス/調味料(アミノ酸、核酸)

・香辛料に含まれる小麦としょうゆに含まれる小麦の両方が記載されています。

重複するアレルギー物質名を省略した表示例(個別表示の場合)

重複するアレルギー物質名を省略しない表示例(個別表示の場合)
名称 ウインナーソーセージ
原材料名 豚肉脱脂粉乳、食塩、香辛料(小麦を含む)、砂糖、しょうゆ(大豆を含む)、酵母エキス/調味料(アミノ酸、核酸)

・しょうゆにも小麦が含まれていますが、香辛料に「小麦」と表示しているので、しょうゆの小麦は省略されています。

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アレルギー物質表記の種類

③アレルギー物質表記の種類では、アレルギー表示の対象外食品例や、食品の表記欄に記してあるもので、紛らわしいものや耳慣れないものについてご説明します。

アレルギー表示の対象外食品例

ここでは、アレルギー物質と類似している食品成分で、法的にアレルギー表示の義務のないものについてご説明します。
一例として表示義務品目の「卵」の場合を述べますと、卵でも「魚卵、は虫類卵、昆虫卵」等は、アレルギー表示の対象外食品例となっています。

アレルギー表示の対象外食品例

アレルギー物質と類似している食品の中に、アレルギー物質には含めない食品があります。

表示義務品目のアレルギー表示の対象外食品

      
表示義務品目 アレルギー表示の対象外食品例
魚卵、は虫類卵、昆虫卵など
小麦 大麦、ライ麦等
そば
落花生
山羊乳、めん羊乳等
えび しゃこ類、あみ類、おきあみ類等
かに
くるみ

推奨品目(特定原材料に準ずるもの20品目)のアレルギー表示の対象外食品

表示義務品目 アレルギー表示の対象外食品例
あわび とこぶし等
オレンジ うんしゅうみかん、夏みかん、はっさく、レモン、グレープフルーツ等
さけ にじます、やまめ、いわな等
ごま トウゴマ、エゴマ等

アレルギー表示の対象外の食品成分に関して気になる方は、製造販売者にお問い合わせください。

知って安心豆知識

食品の原材料表示欄に表示されるもののうち、耳慣れないものや分かりにくいものについてご説明します。
「食品表示法」では、特定原材料8品目に由来するまたは含んでいる「添加物」についてもアレルギー物質を記載することになりました。
しかし、表示の切替準備期間となる猶予期間中は表示方法が混在しますので記載される場合とされていない場合がありますので注意が必要です。 猶予期間については②アレルギー物質表記の種類の注意点で説明しています。

耳慣れない・分かりにくい原材料名について

レシチン(卵由来) 卵由来または大豆由来です
卵黄や大豆を原料としており、乳化剤として使われます。
レシチン(卵由来)と表示されている場合は卵が含まれています。レシチン(大豆由来)あるいはレシチンとだけ記載されている場合は卵は使用されていません。
卵殻カルシウム 卵由来です
卵の殻を原料としています。多くの場合、食品への使用量は微量です。ただし、含まれている食品を摂取する場合は、医師に相談しましょう。
ホエイ 乳由来です
牛乳に含まれるたんぱく質で、酸や酵素で固めた時に残る液体の部分(乳清)。牛乳を加熱すると表面に生じる薄い膜はこのたんぱく質です。
カゼイン 乳由来です
牛乳に含まれる主なたんぱく質で、熱では凝固しにくいのですが、酸で固まる性質があります。カゼインナトリウムは粘着性に優れているので、アイスクリームやソーセージ類、お菓子、パンなどに使われています。
乳糖 乳由来です
牛乳に含まれる糖類。乳糖には牛乳たんぱく質が混入しています。ただし、その製品への使用量が少ない場合は食べられる場合もありますので、含まれる食品を摂取する場合は、医師に相談しましょう。
乳化剤 乳ではありません
混ざりにくい2つ以上の液体を乳液状またはクリーム状にする添加物です。
「乳」という文字がありますが、卵黄・大豆・牛脂等から作られますので、乳アレルギーの原因にはなりません。
乳酸カルシウム
乳酸ナトリウム
乳ではありません
「乳」という文字がありますが乳成分ではありません。乳アレルギーの原因にはなりません。食品の他に医薬品にも使用されています。
乳酸菌 乳ではありません(菌類)
「乳」という文字がありますが乳成分ではありません。
発酵によって乳酸を産生する細菌の総称で、ヨーグルトや乳酸菌飲料などの発酵によく利用されます。菌そのものは乳とは関係ありません。
カカオバター 乳ではありません
カカオ豆の脂肪分です。乳由来のバターの種類ではありませんので、乳アレルギーの原因にはなりません。食品の他に薬品や化粧品などにも使用されています。
小麦
グルテン 小麦由来です
小麦等の胚乳から生成されるたんぱく質の一種です。パンが膨らむのを助けたり、膨らみを保つ効果があります。そのため、米粉パン(米粉100%)と表示されていてもグルテンを使用している事がありますので注意が必要です。使用している場合は、原材料表示にグルテン(小麦を含む)と表示されます。
デュラムセモリナ 小麦由来です
デュラムはグルテンが多く含まれている硬質小麦という小麦の種類の名前で、セモリナとはこの皇室小麦の中心の芯の部分だけを使用して荒く挽いた粉のことです。パスタなどに使用されます。
麦芽糖 小麦ではありません
主にとうもろこしやじゃがいものでん粉を主原料としていますので、小麦アレルギーの原因にはなりません。水あめの原料となります。
酵母 小麦ではありません
酵母は糖分に働きかけてアルコールと炭酸ガスに分解する働きをもつ発酵菌(イースト)です。パン酵母はパンを作る時に適した酵母で、パン(小麦)の成分を含むものではありません。

耳慣れない・分かりにくい食品例

たんぱく加水分解物 肉、大豆、小麦、魚、とうもろこしなどのたんぱく質をペプチドからアミノ酸まで分解したもので、「うまみ調味料」として使用されます。
でんぷん(スターチ) 多糖類の一種で、水に溶いて加熱すると糊状になります。じゃがいも、葛(くず)、とうもろこし、小麦、さつま芋、米、サゴヤシ、キャッサバなどを原料に作られています。
ゼラチン たんぱく質の一種で、水溶性のコラーゲンです。水に溶いて加熱したあと冷やすと固まります。主に牛、豚、鶏などから作られ、ゼリーなどのお菓子の他、ハム、ソーセージなどの結着剤としても使用されます。

耳慣れない・分かりにくい添加物例

結着剤(結着材料) 食品の形状を保ったり食感を良くするために使用されます。例えばリン酸塩やカゼインナトリウム(乳由来)などがあります。
増粘多糖類 草木・海藻などから抽出した多糖類で、増粘剤や安定剤として使われます。グァー豆、とうもろこし、じゃがいも、いなごまめなどからも作られます。粘性があるので、お菓子、ドレッシング、練り製品、アイスクリームなどに使われます。増粘多糖類の中ではグアーガム、カラギーナン、キサンタンガム、ペクチンなどがよく使われます。
増粘剤 ゼラチンや増粘多糖類を原料とし、食品に粘性を与えたり調整に用いられます。ソースや焼き肉のタレなどに使われます。

その他の用語の手引き

食品の表示欄に表示されるもののうち、耳慣れないものをご説明します。

副材
添加剤や調味料などを使いやすくしたり、安定化させるために、溶かしたり固めたりするもの。油脂加工品やでんぷん加工品などがよく使われます。
加工助剤
加工食品を製造する過程で使われる添加物のことで、最終製品にはほとんど残らず、残ったとしてもそれ自身の働きは失っています。アレルギー表示の対象となります。
(例)油を抽出するときに使う溶剤
由来
食品や原材料が何からできているかを表す言葉です。
キャリーオーバー
材料として加工品を用いた場合、それに含まれている添加物のうち、最終製品においてその働きを失っているものです。アレルギー表示の対象となります。
(例)クッキーに使用したマーガリンに含まれる乳化剤。
コンタミネーション
食品を製造する時に、機械や器具からアレルゲン(アレルギーを起こす原因となる物質)が意図せずに混入すること。

監修・協力

大矢幸弘先生

大矢 幸弘先生

国立成育医療研究センター アレルギーセンター シニアフェロー​

名古屋市立大学大学院医学研究科環境労働衛生学分野特任教授​

藤田医科大学ばんたね病院総合アレルギー科客員教授​

国立名古屋病院小児科、国立小児病院アレルギー科などを経て、2002年から国立成育医療センター第一専門診療部アレルギー科医長、2015年に国立研究開発法人への改組を経て2018年から国立成育医療研究センターアレルギーセンター長、2024年から同シニアフェロー、名古屋市立大学環境労働衛生学特任教授、藤田医科大学客員教授。アレルギー疾患(気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、消化管アレルギー)のガイドライン作成に関わっています。​

まずコレ!
食物アレルギー基礎情報

食物アレルギー初心者向け、まず押さえておきたい基礎情報