瀧真奈美先生コラム
食物アレルギーをお持ちの方の災害時の食事について
9月1日は防災の日。
食物アレルギーをお持ちの方にとって災害時の食事は大きな課題だと思います。ですが食物アレルギー対応食品を備蓄する自治体はまだ少ないのが現状です。
今回は食物アレルギー分野管理栄養士の瀧先生に災害時の食事についてお話を伺いました。ぜひこの機会に読んでみてください。
食物アレルギー分野管理栄養士
瀧 真奈美先生
こんにちは。食物アレルギー分野管理栄養士の瀧です。
日々のお食事作り、本当にお疲れ様です。
日常生活でも細やかな配慮をされているお食事ですが、災害発生という非日常時には、確実に、更に神経を使わざるを得ない状況になります。
その時、少しでも不安要素を減らせるように、事前準備を今から整えていきましょう。
災害時、まず一番大事なのは「水」の確保です。飲料水として、1人1日あたり1リットルは必要。
そして、カセットコンロとカセットボンベ。温かい飲み物や料理には緊張時のリラックス効果もあります!
避難所などに救援物資が届くのは、状況にもよりますが、発災後から数日はかかります。
さらに、食物アレルギー対応の特殊食品は、手に入りにくい状況になることも考えられます。
普段使っているアレルギー対応食品は多めに購入しておき、古いものから消費、消費したら買い足す、といった「ローリングストック法」を行い、最低3日、できれば1週間、可能であれば2週間分以上の備蓄をおすすめします。
また、いわゆる最近の「防災食」は、昔と違って本当に美味しくなりました。が、非常時に初めて食べるのではなく、防災の話をしながら普段から食べるようにして、「なじみのある味」としておくとよいですね。
災害時、常に家族全員揃って、行動ができるとは限りません。
お子さまが一人でいても、名札やビブス等で、食物アレルギー疾患をもっている、〇〇が食べられない、といった、誰が見てもわかるような明確な表示を作成しておき、非常時は身につけるようにしましょう。
発症してもすぐに医療機関に繋がりにくい状況のため、誤食に関しては万全の予防策が必要です。
※イラスト引用
アレルギー疾患のこどものための「災害の備え」パンフレット
/一般社団法人 日本小児臨床アレルギー学会
災害時、備蓄食材や、救援物資のみでの、限られた食材での食事となります。十分なエネルギー量が摂取できなかったり、栄養素の不足状態(主にビタミン・ミネラル・食物繊維・たんぱく質)が続くことになり、パワー不足、免疫力低下、精神不安定、便秘などになりやすくなります。
一般的な備蓄食材に、以下の食材もプラスをおすすめします。市販されている各種の栄養補助食品もよいですね。必ず、アレルゲンの確認をお忘れなく。
【ビタミン・ミネラル・食物繊維をプラス】
★缶やレトルトパウチの常温保存可能な野菜(豆やコーンやトマトなど) ★フルーツ缶
★野菜ジュース ★イオン飲料(発熱・脱水時) ★ドライフルーツ ★ナッツ類
★海藻・野菜等の乾物(海苔・切り干し大根など) ★玄米・大麦・ライ麦・ふすま等配合のパン・ご飯
【たんぱく質を強化】
★肉や魚の缶詰 ★レトルトフード(ハンバーグ・ミートボール・カレー・牛丼など)
災害時は、精神的にも肉体的にも疲労困憊で誰しも不安定になります。避難訓練と同様に、普段から準備し、 シュミレーションしておくことがとても役立ちます。 以下のサイトは、とてもわかりやすく、災害時の備えについて書かれているのでおすすめです。 ぜひ、ご家族でご覧になって、事前準備を整えて下さいね。
■アレルギーポータル 災害時の備え/厚生労働省・日本アレルギー学会
アレルギーポータル | 災害時の対応 (allergyportal.jp)
■要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド/農林水産省
災害時に備えた食品ストックガイド:農林水産省 (maff.go.jp)
■家庭備蓄のすすめ/農林水産省
foodstock
■アレルギー疾患のこどものための「災害の備え」パンフレット/一般社団法人 日本小児臨床アレルギー学会
一般社団法人日本小児臨床アレルギー学会 / m3.com学会研究会 (kenkyuukai.jp)
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